ちびまる子ちゃんとさくらももこさんに思う切なさとあの頃の時代感

思い出

ひと月ほど前、思わぬ訃報が飛び込んできました。

さくらももこさん、享年53歳。

ニュースやワイドショーでも、そのほとんどが『え?』と驚く声ばかりで、いったい何が起こったのか…というみんなの戸惑いが画面からそのまま溢れていました。

ちびまるこちゃんとともに32年🌸

さくらももこさん、昭和40年静岡県生まれの漫画家さんでした。

彼女の代表作『ちびまるこちゃん』は、昭和40年代後半の清水(今の静岡市清水区)の、ごく普通の子供たちの群像劇であり、その日常を描くことによってさくらさんの分身のような『まるちゃん』の、ある意味のびのびした、しかし時折、まだそれほど豊かではなかったあの時代の息苦しさまでも感じる、まるで子供時代を追体験するような作品でした。

少女マンガ誌の『りぼん』の作品の中でもパッと目に入るシンプルな絵柄は独特で、コミックスの表紙やアニメのオープニングにあるようなカラリングやアートっぽい雰囲気は当時出色のセンスだったのです。

『ちびまるこちゃん』はただの日常系マンガではない、という感じがありましたが、その後数々のエッセイなどを通じてさくらさんの頭の中にある不思議世界やシビアな視点が垣間見え、そうしたベースがあって、そこからあのノスタルジー溢れる静岡の街、そしてそこに生きる子供たちの暮らしを切り取っていったんだろうな、と思うのです。

ニベアとまるちゃんの昭和40年代🌸


その訃報が伝わると同時に、ニベアクリームの『さくらももこ缶』が発売されるというニュースが伝わりました。

これは、今年ニベアが日本で発売されるようになって50年ということで、アニバーサリーデザインが発売されていた中のひとつだったようです。

こんなタイミングで亡くなるなんて、きっとご本人もメーカーの担当者の方も予想されていなかったんじゃないでしょうか。

昭和40年代の事。まだ日本はそれほどに豊かというわけではありませんでした。スキンケアという概念もまだ浸透していなかったのではないかと思われます。

その時期に広まっていったニベアクリームは、その使い心地と優しい香りが子供時代の思い出と重なって残っています。数年前から、高級化粧品並みの保湿力!と再ブレークしていますが、我が家では私が昔から愛用してると同時に、息子たちも好んで使っており、洗面台やリビング、台所などに常にニベアのまあるい青い缶が置いてあるヘビーユーザーなのです。

発売予定の9月8日のには間に合わなかったようですが、最近やっと近所でもさくらももこ缶のニベアが出回るようになり、やっと買うことができました。

青い缶に、おばあちゃん、おかあさん、そして小さな女の子。

お揃いのイエローのマフラーを巻いた三人を包み込むような星空と、雪の積もった家々の屋根。これからの寒い乾燥した冬にも、親子三代で使っているよ、という、日本に根付いたニベアのイメージをさくらももこさんの優しい色使いのイラストで表している、そんなデザインの青い缶を眺めていると、あの訃報が嘘のようで、切ない気持ちになってきます。

良いことも、そうでないことも包み込むようなノスタルジア🌸

私はさくらさんとほぼ同世代で、同じ静岡に生まれました。

『ちびまるこちゃん』の作中に出てくる富士山や、田子の浦という海は日常の光景で、テレビやアイドルの話題、ご当地ネタなど、読むほどに見るほどに『私たちの子供時代あるある』だったのです。

東京などの大都市圏とちがって、あか抜けない、そしてそれほど豊かでもないイナカの子供にありがちな、テレビの中の世界とリアルとのギャップに積もるコンプレックス。小さな世界の中で四苦八苦していた面白くもなんともない、ただただ何かを夢見ていたような幼い日々。

むしろそんなことの方が沢山思い出されて、ちょっと胸が痛くなる、そんな子供時代を突き付けられているようで、いっとき『ちびまるこちゃん』を見るのが辛かったことがあります。

でも、大人になって見直すと、思わず『そうそう』と笑ってしまったり、まるちゃんの隣に座って『大丈夫、きっと大丈夫!』と頭をなでてあげたいような、そんな気持ちになるのです。

ま と め🌸

日曜の夕方六時、テレビをつけるとまるちゃんの元気な声が聞こえます。

友三さんの声を演じていらっしゃる役者さんはもう、何人か交代されていて、番組の続いてきた歴史を感じます。

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